「てくたくぶっく」と石標

1984年玉川地域活動団体連絡協議会(地団協)が設立されました。世田谷区が健康都市宣言(1971年)をしたことに伴って、区が地域振興のために作ったものです。しかし行政から財政支援などを受けず独自に主体性のある行動を起こすことを決め、事業を進めるにあたっても基金を募るには、まず地域を知ることが第一と考えられました。そのために地区内を歩いて回る一助にと石標作りに取り掛かり、14年かけて5コース173本の石標が建てられました。石標を訪ねて歩けばおのずと地区の歴史なども知ることができるように工夫されています。

 

その後この地団協は「玉川の郷土を知る会」と改名され石標などのメンテナンスを行っていました。しかし会員の高齢化も激しくなり、2006年会は解散しました。現在は、世田谷区玉川総合支所地域振興課が継続して石標のメンテナンスや「てくたくぶっく」の紹介や販売などを行っています(下記各コースとも1冊200円です)。

5つのコース

①兵庫島 ②等々力渓谷 ③駒沢公園 ④用賀・馬事公苑 ⑤九品仏

玉川田園調布が含まれているのは、⑤の九品仏コースで、全部で32本の石標があります。1992年に完成しています。玉川田園調布内及びその境界線にあるのを含めると4本の石標があります。

 

「誉の桜跡地」(前出→)、多摩川台住宅地(前頁→)、上図の「切り石」、「玉川水道跡」です。「切り石」(左写真)は、玉川田園調布と尾山台の境界の尾山台側にあります。てくたくぶっくによると、この地点は、奥沢村、尾山村、等々力村の村境が重なり合ったところから、きちんと境界を示すための石としておかれたようです(現在石は見当たりません)。

 

「玉川水道跡」(右写真)は、この地に多摩川水道があったことを示しています。現在は、原水の悪化により水道事業は中止し、工業用水として三園浄水場に送水しています。石標はぽかぽか広場のベンチなどのあるエリアに置かれています。